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ZIG ZAG WALK

おもしろきことは,よきことなり。

【福岡妄想日記・博多】ある地下室でのサービスタイム(1/3)

福岡妄想日記

午後6時を過ぎたところだが、夏の太陽はまだ高い位置にある。

仕事上がりだろう、半袖でシャツ姿の男性や、肩から腕を出し涼しげな服を着た女性たちが、うだるような熱気から逃れるように、一瞬で目を覚ませてくれるような冷気を求めるように、続々とこの島に流れ込んでくる。

私も彼ら彼女らと同じように、でもきっと別の目的で、島へと続く橋を渡る。橋の下の川は、いつもよりよどんでいるように思えた。

すぐ目の前を、タクシーや黒塗りの車がスピードを落とさずに駆け抜けていく。

金曜日の夕方のためか、いつもより人が多い。

約束の時刻に、指定された場所に着いた。しかし、相手方の姿も店の看板も一見したところ見当たらなかった。

場所を間違えたかと思い、予約先の内容が記載されたメールを確認するも、やっぱり間違いはない。少しだけ不安になった。

気持ち傾いた夕日が、堂々と行き交うサラリーマンや私を照らす。ただ立っているだけでも首筋から汗が噴き出て滴り落ちる。

どうしようかと周りを見渡していたら、ちょうど背にしていた建物の扉に、目的地の名称が刻まれていた。道を歩いているだけでは通り過ぎてしまうだろう。

ケルトンの扉の先に、地下へと続く階段。

本当にこんなところにあるのかとさらに不安になる。けれど、人通りが多い道なので、こういう入口の方が人目につかず、逆に都合がいい。

意を決して扉を開け、外から見えていた階段を地下へと降りていく。

1段、また1段と降りるたび、熱気は薄れていった。

階段が左へと折れ曲がったところで、店の入口があった。中の様子を伺うと、壁に隠れた奥の方に見覚えのある横顔を発見した。

同時に、店員に声をかけられた。私の視線の向きに気づいたのだろう、そのまま奥へと案内してくれる。

壁の向こう側まで通されたところで、店員はすぐに去っていった。

相手方に促されるようにして、席の真ん中に座る。座ったところで、周りを見渡してみる。

右も、左も、目の前も、さらに斜め前も、若い女性である。

実は、1名の後輩の男性も来る予定だったのだが、所要で来れなくなったところだった。ということで、女性4人に男性は私1人。

目の前は、小さな子どものいる、家庭もちの女性である。端正な顔立ちで美しいという表現がぴったりだ。

左は、社会に出てまだ数年の女性である。元気があり、若さが満ち溢れている。

右は、30を過ぎたばかりの、これからという女性である。気が利いておしとやかなイメージだ。

斜め前は、初めての女性だった。見た感じ快活そうでいて、何でもやすやすとこなしている感じがした。

女性たちに囲まれ、少し歓談していたのだが、私はうずうずしていた。悟られはしないかとびくびくしていたが、とにかくもう早く味わいたかったのだ。

何よりも、時間は90分と決まっているのだ。

会話が少し途切れたところで、本題を言おうとしたとき、

「はじめちゃいますか」

と、目の前の女性が呟いた。

私はつばを飲み干しながら頷き、遠慮なく手を伸ばそうとした。

【続く】