読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ZIG ZAG WALK

おもしろきことは,よきことなり。

【私的福岡・番外編(上天草)】甘いモノには,トゲがある。

仕事でも。プライベートでも。

美味しい話には,必ずと言っていいほどトゲがあります。

魅力的な名前や見た目に夢中になっていると……ぶすっ,みたいな。

 

植物や動物でもそうですね。

甘い匂いで引寄せて,落ちたら最後ぱくっとウツボカズラ

いかがわしい光で引寄せて,近づいたら最後ぱくっとチョウチンアンコウ

近づいたら終わりです。

 

気を付けておきながら,トゲに刺されてきました。

上天草で。

 

 

上天草を旅行中,公園のほかに子どもたちをどこに連れて行こうかなと考えていました。

Google先生に尋ねたところ,ちょうどよさそうな名前がすこんとヒットしました。

それは四号橋からも見てとることができるようでした。

レストランやお土産店が軒を連ねるおしゃれな施設,リゾラテラスの奥の方。

 

 

わくわく海中水族館シードーナツ。

見た目もまん丸いので,ドーナツという名前がついたのでしょう。

天草五橋から眺める天草の海はとても綺麗で壮大です。

水族館は福岡にももちろんありますが,美しい天草の海の中の生物を間近で見ることができるのはきっとここだけでしょう。

海中一杯に広がる円形のガラスの向こうには,ゆうゆうと泳ぎ回る魚たち。

水上から覗き込めば,寄ってくる人懐っこい魚たち。

想像するだけで大人の私もワクワクしてきました。

子どもたちも,水族館ならきっと喜んでくれるに違いありません。

 

甘い期待を抱いて,入場ゲートをくぐりました。

そんな考えは一瞬で消えました。

 

入ってみると,水族館本体が遠いところにあるのがわかりました。

円形の物体は,お金を払った入口から,子どもを連れた足で10分はかかりそう。

 

まあいいやと思っていると,道の先からブロロロロロ……と,原付の音。

近所のデパートで日曜日に動いているような,運転席とけん引される荷台の,汽車の形をした車がやってきました。

そうかそうか,これに乗って行くのか。

 

乗り込もうとすると,

「1人100円になります」

と,可愛らしいお姉さんの一言。

もちろんお支払しますとも。

 

私たち家族を乗せて,汽車の形をした車は海中のドーナツへと向かっていきました。

道中,何組かの観光客とすれ違いつつ,道の途中に置かれた展示物を止まることなく無視して通り過ぎつつ,あっという間に終点が見えてきました。

 

終点に差し掛かったところで,お姉さんが左にハンドルを大きく切ったのに呼応して,汽車が大きく左に曲がったかと思うと,すぐさま右に切られたハンドルに従い,汽車も即座に右に曲がった結果,ちょうど反転して止まりました。

魚を見る前に,このすごく狭いスペースの中で何事もなく汽車を反転させる絶妙なテクニックのお姉さんに,私はいたく感動しました。

 

汽車から降りてみると,海上に浮かぶドーナツへと続くための橋がもう眼の前にありました。

興奮して橋の上を走る長男を追いかけてドーナツへと向かいます。左右を見渡せば,天草の海。やっぱり綺麗です。

橋を渡り切り,ドーナツの上に乗りました。

 

さあ,鑑賞の始まりです。

順路に従って歩いていると,柵に取り付けられた一枚のボードが目に入りました。

書いている内容を見てみると,海中に落ちたモノの一覧表のようです。

帽子,スマホ―,バッグ……と,みんな結構落としてるなあと思っていたら,「3歳男児」の文字。

えっ,人?

しかも,1人だけでなく小学生など含め2~3人の記載。

さらに落ちたモノの横の項目を見ていくと,落ちた状況に続いて,落ちた感想やら反省の弁の記載欄。

うわ。

気づいてしまいました。

ここは,普通の水族館ではないことに。

 

気を取り直し,順路を進むことにしました。

橋を渡って右に進んでいくと,海の下へと続く階段がありました。

なんだか手作り感満載の飾りと怪しげなライトが誘う階段を一歩ずつ降りていきます。

降りた先にあったのは,天草の海……ではなく,アジアの海。

一周まわって後々気づいたのですが,この施設は「天草」で「世界各地」の海の生物を展示する施設でした。

 

天草の魚はいないの?

安心してください。

ところどころ壁にあいている穴の窓の向こうは,まぎれもなく天草の海でした。

ぼーっとしばらく覗き込んでいると,魚が顔出してはすぐに消えていきました。

一瞬でもいいじゃないですか。ちゃんと天草の魚はいました。

ですがどう考えても,展示のメインは世界の魚のようです。

 

展示されていた魚は見たことないものばかりでした。

目が退化してなくなってしまったけれど,形も動きもやっぱり魚で不気味な「ブラインドケープカラシン

幽霊みたいな背びれを波打たせて動くこれも不気味な魚「ブラックゴースト」

本家と並んで展示され形だけでなく味も比較される残念な「スッポンモドキ

 

展示の説明も見たことないものばかりでした。

職員の方が自分でペンで書いたものから,ペンキでボードに書きなぐったものまで,情熱溢れる文字。

特徴などよりも美味いかまずいかを優先するコメント。

海中にわざわざ神社を作ってウツボを奉っているにもかかわらず,祈るより食った方がいいと締める解説。

 

展示の仕方も見たことないものばかりでした。

「恐怖の毒針」「触らないでください」と書いておきながら,ふたもせず思わず触りたくなるような絶妙な位置に展示してあるガンガゼ

f:id:boubilog:20160910152952j:plain

10種類くらいの生物を並べて総選挙と称して投票を迫るコーナー。

 

他にもありましたが,夢中になってしまい記録としてあまり残していません。

気づけば展示を見ただけで1時間が過ぎていました。

 

そのほかにも,1階部分ではたった100円で山ほどえさやりができたり(水中落下に注意),2階部分では強毒だけど美味しさを強調する魚たちが展示されていたり,三号橋・四号橋を含め遠くまで眺めることができる展望デッキなどがあります。

 

結局,全部で2時間近く滞在しました。

子どもも「今日の水族館楽しかった」と満足のようでした。

 

わくわく海中水族館シードーナツ。

そのなんとなく可愛らしい名称と形の中に,あっと驚くトゲがあなたを待っています。

ぶすっ,とね。