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ZIG ZAG WALK

おもしろきことは,よきことなり。

両想いのカ・タ・チ(北九州市)

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和室に置いてある棚の上から2番目の引き出しを開けると,木製の小さな箱が出てきた。

くくられた赤い紐をするすると解いて蓋をはずしてみると,白い台座に並んだ2つの指輪。

 

つまんで取り出してみる。長い間忘れ去られていたためかひんやりと冷たい。

数年前の結婚のときに買ったものだが,家事をしているうちにはずれたり酔っ払ってはずして忘れたりするという理由で,結局お互い指にはめずに保管したままだ。

使われていない指輪にも,こうやってあらためて手にとってみれば当時の馴れ初めの記憶を呼び起こす力があるのかもしれない。けれど,2匹の怪獣を追い追われる毎日に存在すら忘れかけていた。

 

お互いの想いをあらわすものといえば,どんなものがあるだろう。

 

中学校の頃,他の男友達の誰にも知られないようにこっそりと続けていた,気になる子との日々のとりとめのない内容の手紙であるとか。

 

気になっている子が歌っている間にもう一つのマイクで割り込んで,そのうち上手に交互に歌うようになる二次会のカラオケであるとか。

 

雪が降るくそ寒い中,コートに両手を突っ込み,マフラーに顔をうずめて帰宅する私の前をゆっくりと歩くカップルの繋がれた右手と左手であるとか。

 

婚姻届ともなれば法律上,形式上も拘束力の強いものであって,提出するときのボルテージは最高潮だろう。

 

あらわす方法は人それぞれ千差万別かもしれないが,それが世間一般にありふれたものではなく,この世に一つしかないくらいの特別なものになればなるだけ,その想いとつながりはの深く,強いものに違いない。

 

そういう意味で,北九州市ともう一つの市の想いはすごいと思う。

 

北九州市

政令指定都市であり,(現時点の人口が)福岡県第2の都市である。

北九州といえば,工業都市であり,現在では過去の公害への取り組みからか環境先進都市となっている。

 

その北九州市で目を引く条例に「関門景観条例」というものがある。

 

景観について定めた条例であり,景観法に基づく条例としては,他都市でもありそうなものである。

何がユニークかといえば,同じ名称・条文・施行日の条例が九州の対岸である本州の下関でも制定されていることである。

 

下関と北九州にとって,関門海峡とは観光名所だ。

歴史で言えば,源平合戦壇ノ浦の戦いの地であり,宮本武蔵佐々木小次郎が決闘した巌流島があり,長州藩が外国とドンパチした四カ国連合艦隊砲撃事件の地であり,日清講和条約の締結の地である。

それにお盆には,両岸からドーンとあがる花火大会。

 

観光の分野を中心に,隣の自治体と連携しますと言って,両市の市長が握手して協定書をとりかわしたり,都心で名産品を合同で売り込むイベントなどはよく見かけると思う。

けれど,議会をとおして条例という公式ルールまで共同で制定するという連携は,正直自治体職員にとっては相当骨のいることであり,最初にこの発想を考えた人はとんでもない人物に違いない。

そのせいか,自治体職員の目から見れば,両市の関門海峡の景観に対する思いが溢れまくっている証となっているのだ。

 

なお,条例を見てみると,北九州市の関門景観条例は平成13年制定で,下関の関門景観条例は平成17年になっていて,あれっと思ってしまう。これは,下関市市町村合併により新しい「下関市」となり,例規も平成17年に一からスタートとなったからだろう。

 

昨今の地域活性化や課題解決のメニューの中で,連携とか共同といった言葉がついた事業は,言葉が持つ意味以上にありふれているような気がしてならない。

 

そのレベルを超え,両市に並ぶくらいインパクトのある条例をつくる自治体が果たして出てくるのか,楽しみである。

 

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日本人の行動,生活についての公式のルール,国が定める法律は,今現在どのくらいあるのだろう。

 

総務省の法令データ提供システム上は平成28年12月1日現在で,法律は1961本あるそうだ。これに内閣が定める政令や各省庁が定める省令といったものを入れると,8000を超える。

 

直接的には身近な生活に関係ないものが多いにせよ,我々はそのような計り知れないほどの数のルールの中で生きている。

 

一方,国ではなく住んでいる都道府県や市町村が定める条例・規則はどのくらいあるのだろうか。

 

市町村の数だけでも約1700ある。

条例や規則の数を数えたことはないが,なんとなくの勘で最低でも300は下らないと思うので,掛け算すると

 

1700 ☓ 300 = 510000!

 

条例のうち,法律により定めなければならない条例とか(それがほとんどであるが),自治体運営に必要なものを定める条例とかは,どの自治体も似通っている。

 

しかしながら,小学校の社会科の授業で習った地方自治というフレーズの通り,地域の実情に応じたルールを自治体は定めて良いわけで,古くから,そして最近の地域活性化ブームもあり,自治体独自の条例が増えてきている。

 

もちろんルールとする以上,制定に至る課題や背景があり,それに対する解決策や方向性が示され,その地域の住民が守るものとして法的な手続きを経て決定されているはずである。

 

そのような条例は,異なる価値観,生活態様を持つ他地域の人々にとっては新鮮であり,斬新であり,疑問であり違和感があるかもしれない。しかし,知ることで自分の地域での解決策に繋がるかもしれないし,一歩進んでその地域のことに興味をもつことができるかもしれない。

 

また,法律と比べてメディアの露出が少ない条例である。

自分に関係がある地元ルールとしてこんなものがあったのかとか,こんなことが条例で決まっていたのかとか,こんなことまで条例で決めないといけないのかなど新たな発見があるに違いない。

 

ということで,私なりに各自治体のユニークな独自条例,一住民の立場ではあまり知られていそうにない条例・規則を探してみては,私なりに取り上げてみたい。

 

こんなことは,既に先駆者がおり書籍化もされているので何も目新しいことではないが,やってみる価値はありそうだし,条文を追っかけるだけなら手間もかからない。

最近は便利になったもので,ほとんどの市町村が条例や規則をウェブサイト上にアップしている。インターネットの窓に手を突っ込んでみれば,福岡からは遠い北海道の市町村の条例だった瞬時にみることができるのである。

 

無限の物語の,はじまりはじまり。