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おもしろきことは,よきことなり。

【私的福岡】「中島良」✕「入江信吾」の2人に教えてもらったこと。

 

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去る7月1日に福岡市総合図書館で催された,「映画監督 中島良の世界」に行ってきました。

そこでは中島良監督の作品が2つ上映され,また脚本家の入江信吾さんを交えたトークショーもある,またとない機会でした。

そこで私は,これからの映画や小説などのエンターテイメントにとって,必要なことを教えられたような気がしました。

 

映画でも,小説でも,漫画でも。それらを鑑賞することに人は何を求めているのでしょうか。

私自身もあらためて考えてみると,よくわかりません。

読まれているあなたはどうでしょう。

謎を解いていく楽しさ,ドキドキハラハラするスリル感,登場人物たちへ感情移入することによる癒やし・・・と,色々あると思います。

エンターテイメントという言葉が,人々を楽しませるという意味からすると,種類・テーマは問わず人々に対し何らかのプラスの感情をもたらしてくれるものなのでしょう。

 

それでは,数多あるもの中で,人々の心を捉えて離れないもの,多くの人の理解を得られるもの,何度も見たくなるものはどういったものでしょうか。

これまでにない世界観や,思いつきもしないようなトリック,惚れてしまうくらい魅力的なキャラクター・・・といったものでしょうか。

いや,私はこう思います。

 

「ストーリーには王道がある」

 

以前,天狼院書店のライティング講座を受講していた際,大塚英志さんの「ストーリーメーカー」という本の存在を教えてもらい,読んだことがありました。

その本では,過去の各地の物語には一定の法則性がある,ということを検証した研究が何例か紹介され,その考え方に沿って著者独自の創作のための物語論が展開されていくのですが,読んでからというもの,私はそのストーリ展開,物語の構造といったものを念頭において,映画にしろ小説にしろ嗜んでいくようになりました。

 

すると,見ていたり読んでいたりする際に,進行につっかかったりするものや,逆にするすると流れていくものがあることがわかりました。

もちろん,先ほど紹介した本の考え方を意識してなので,違うアプローチをしているものについて無意識的のうちに否定的に評価しただけなのかもしれません。

ただ,民話や神話といった何千年を越えた歴史の中で受け継がれてきたものに一定の法則があるということなので,これは個人的な感覚ではなく人類の一般的な感覚として,「傾向」があるのではないかと思います。

テーマが何であれ,描写の技巧に関係なく,人の理解がしやすく,感情にすっと入り,満足感が得られいつまでも記憶に残る。

それがストーリの王道の効果だと思うのです。

 

7月1日,私が見た映画「RISE UP」は,端的にいうと「空を翔ぶ青年と視覚障害者となった少女が織りなす青春ストーリー」です。

林遣都山下リオ(超カワイイ)という役者に,この二人がお互いの存在を契機に苦難を乗り越え成長していく様が,まさに青春ストーリーの王道をなしています。

(総合図書館なので映画館ではありませんが)映画館で見た映画は,数年というか10年単位で久しぶりでしたが,その青春ストーリーの鮮やかさにもう一回見たいと思いました。

決して山下リオが可愛いという理由だけではありません(いや,可愛いからそれだけでもう一回見てもいいや)。

 

そうはいっても,目の肥えた方でなくとも同じようなストーリーは飽きてしまうのだろうとも思います。

妻が最近の少女漫画が原作の映画は,同じようなものばかりと言っていました。

その真偽はともかくとして,表現という行為へのハードルが下がったいま,毎日プロ・アマ問わず星空の数ほどのストーリーが生まれては語られているのでしょう。もちろん,その中には,王道に沿ったストーリーも多く含まれていることでしょう。

その中で,一線をこえるものは何なのか。

 

今後の日本においてそれは,「地域という独自性」ではないかと思うのです。

中島良監督もトークショーの中で,今後は地域を活かした映画を取りたいと言っていました。

自分の知っている場所・モノというだけで,映画や小説にリアリティを感じるようになり,自分ごととして体感・共感できる部分が多くなって入り込めるのではないかと思うのです。

人間は何かしら興味なり親近感が湧きます。

自分のためのものであると思えてくるようになります。

そのうちなんか優越感を感じたり,贔屓目をしたりするようになります。

それが一周まわって自分の暮らす地域というものに愛着が増えるのではないかと思うのです。

 

一方,自分の暮らす地域以外を取り上げた映画や小説に対してはどうでしょう。

知らなかったとしても,それが自分の地域にはない魅力的なものであれば,行ってみたくなり,体験したくなると思います。

人間の「知りたい」という欲求は根源的なものです。

これだけ情報化された社会なので,自分の住んでいない地域のことも仮想空間に尋ねてみればあるていどの情報を得ることは可能ですが,実際に情報を取得しているかというとそうではないと思います。

私は福岡を中心に九州のことはなんとなくわかりますが,30代後半になっても関西以東は正直,県庁所在地はおろか各都県の位置関係ですらあやふやです。ましてや観光スポットと言われると皆無でしょうか。

 

「地域性」は一般化されたものよりも,独自性・特別感が出て外的にも内的にも差別化されるのです。

そして,量的にも距離的にも人間の把握範囲が限られることからすると,「地域性」というものは一人の通常の人間にとってみれば数多あるわけで,人によっては無限大に楽しめることになるのではないかと思います。

「映画を含むエンターテイメントはどんどん消費されるスピードが早くなっている。いつまでも残る映画を取りたい」と中島監督は言っていました。

今後は一定の土着的なファンを持つ地域を題材としたものが,多く出て来るのではないでしょうか。

 

ただし,問題があります。

「方言」は全国展開には向かないといったことを監督が言っていました。

だからなのか,映画「RISE UP」では不思議なことに,メインキャストは標準語仕様でしたが,エキストラの声は方言を喋っていたとのことでした。

独自性と標準化は背反します。

地域性を活かすと,一般性・普遍性が失われるのです。

それを克服するのが,もとに戻って,脚本の力でありそれを屋台骨として支える「ストーリーの王道」なんだと思います。

まとめると,「王道ストーリー(普遍的価値含む)✕ 地域 」であり,

映画「RISE UP」でいえば,「青春ストーリー(成長+絆)✕ 白山市(パラグライダーの聖地)」なのです。

 

長々と語ってきましたが,実はここからが本題です。

ここまで読んでいただいた,「福岡にゆかりのある」あなたにぜひオススメの映画があります。

 

「なつやすみの巨匠」

 

この映画は2年前,福岡中洲大洋劇場で異例のロングヒットランとなり,昨年は京都国際こども映画祭でグランプリをとった映画ですが,先ほどの方程式に照らせば,

「少年の青春ストーリー(成長,友情,家族,恋) ✕ 福岡(能古島,福岡県出身俳優)」

となります。

そしてこの映画は「RISE UP」に引き続き中島良✕入江信吾の2回目のタッグになるのです。

中島監督も,「RISE UP」でできなかったことを夏休みの巨匠にぶっこんだと言っていました。

これだけで見たくなりませんか。

 

くわえて耳寄りな情報として,「なつやすみの巨匠」が福岡市総合図書館の「シネラ」で上映されるのです。

普通,映画館を見ると1800円ぐらいすると思います。

ところがどっこい,シネラで見ると高くても600円なのです。

さらにさらに,7月23日(日)はお2人の講演つきです。

そして,7月1日のときは上演前・後に2人ともロビーにいらして,気さくに話しかけたりサインもらったり一緒に写真取ってもらったりすることができました。もしかしたら今回もいけるかもしれません(実際に可能かどうかは責任とれません。)。

 

上映スケジュールは以下に掲載されています。

http://www.cinela.com/schedule/index2.html

 

夏休みにでも,ぜひ見られることをおすすめします。

 

P.S.

どうしても仕事や家庭の都合上,シネラに行って見られな方がいると思います。

でも大丈夫。

なんと,来週の7月19日に「なつやすみの巨匠」のDVDが発売されるのです。

アマゾンでも予約可能ですので,「えいポチッ」もありかもしれまんよ。